Illustratorでアクションを実行する1行スクリプトを用意して、キーボードショートカットの自由度を高める

この記事は鷹野雅弘によって執筆されました。
公開日:2017年2月 6日、更新日:2017年8月21日
 

よく使う複数ステップの動作をアクションに登録し、キーボードショートカットで実行すれば作業効率が上がります。

しかし、Illustratorでは、アクションに割り当てられるキーボードショートカットが限定されているため、アクションを作り込んでもキーボードショートカットの設定には限りがあります。

そこで、アクションを実行するスクリプトを用意し、そのスクリプトに対してキーボードショートカットを割り当てることを考えてみます。

アクションに割り当てられるキーボードショートカットの組み合わせは非常に少ない

Illustratorのアクションを実行するキーボードショートカットには、commandキー、shiftキー、および、F1-F15しか使うことができません。

細かくいうと、次の組み合わせが可能です。

  • {F1-F15}のみ
  • command + {F1-F15}
  • shift + {F1-F15}
  • command + shift + {F1-F15}

しかしながら、メニューコマンドのキーボードショートカットで大半が使われていますし、OSのキーボードショートカットが最優先されるため、そのことも考えなければなりません。

さらに、現在、主流となっているMagic Keyboardには、F13-F15キーはありません。

つまり、空いているキーの組み合わせは、そう多くありません(【】はmacOSのデフォルト)。

-+shift+command+command +shift
F1Illustratorヘルプ
F2カット([編集])
F3コピー([編集])カラーガイド
(パネルを開く)
【スクリーンショット
(画面)】
F4ペースト([編集])【スクリーンショット
(選択部分)】
F5ブラシ
(パネルを開く)
グラフィックスタイル
(パネルを開く)
【VoiceOverの
入/切】
F6カラー
(パネルを開く)
アピアランス
(パネルを開く)
次の
ドキュメントに
移動
前の
ドキュメントに
移動
F7レイヤー
(パネルを開く)
整列
(パネルを開く)
F8新規シンボル変形
(パネルを開く)
情報
(パネルを開く)
F9パスファインダー
(パネルを開く)
グラデーション
(パネルを開く)
F10
(パネルを開く)
透明
(パネルを開く)
F11【デスクトップを表示】属性
(パネルを開く)
シンボル
(パネルを開く)
F12【ダッシュボードを表示】その他のスクリプト
([ファイル])
 

F1-F12のみを取ってみても、48個のうち、使えるのは20個だけです。

スクリプトからアクションを実行する

次のようにスクリプトを記述することで、スクリプトからアクションを実行することができます。

app.doScript("アクション名", "セット名");

スクリプトの知識がなくても、たった1行記述し、「.jsx」の拡張子を付けて保存するだけです。

  • スクリプトからアクションを実行できるのはIllustrator CS6
  • アクション名、セット名には、日本語を利用できる

SPAiKeyboard Maestroを使って、スクリプトにキーボードショートカットを与えれば、optionキーやcontrolキー、そして、Fキー以外のキーを使えるため、自由度が飛躍的に上がります。

Windowsの場合、Ai Script Assist(有料)が選択肢です。

よく使う作業を洗い出して、アクションを設定する

下記は、私が登録しているもの(の一部)です。

分類アクション
塗り黒に
白に
拡大縮小200%に拡大
50%に縮小
90%に縮小
110%に拡大
変形時計回りに45度回転
時計回りに90度回転
リフレクト(垂直軸を基準に)
罫線オモテケイに
破線
矢印
シンボルシンボル作成
(ダイアログボックスをスキップ)
マスク不透明マスクを作成
グループの抜き

たとえば、拡大縮小は、次の手順で実行できますが、ワンストロークで実行できれば早いですし、Illustrator CC 2015.xでの「[拡大・縮小]ダイアログボックスを開いたときに、数値入力フィールドにフォーカスしない問題」も回避することができます。

  1. sキー([拡大・縮小ツール]に持ち替える)
  2. return(ダイアログボックスを開く)
  3. 数値入力(拡大率を入力)
  4. return(実行)

1日の作業の中を因数分解し、次のような視点で棚卸しすることで、総合時間だけでなく、アイデアをカタチにするスピードが圧倒的に向上します。

  • ツールの切り替えや、メニューコマンドの呼び出しには、デフォルトのキーボードショートカットを与える(シングル・アクション)
  • 一連の操作はアクションに登録できないか、または、Keyboard Maestroのマクロに登録できないかを検討する
  • 面倒な繰り返し作業や、Illustratorではそもそもできないことは、スクリプトで実現できないかを探してみる

難点

複数のオブジェクトを選択しているときに、連続して実行しようとすると、一部のオブジェクトの選択が外れてしまうことがあります。

管理のために

私の場合、専用のExcelシートで管理し、時折、“棚卸し”をおこなっています。

4つ目の修飾キー

commandキー/Ctrlキー、optionキー/Altキー、shiftキー/Shiftキーのように対応していますが、macOSではcontrolキーを4つ目の修飾キーとして利用できるため、設定できるキーボードショートカットの幅が広がります。

macOSWindows
commandキーCtrlキー
optionキーAltキー
shiftキーShiftキー
controlキーなし(右クリック)

ご参考

追記:

Keyboard Maestroなら、JavaScriptファイルなしで行けるよ、とツイートいただきました。

で、やってみたら、できた!感動。ありがとうございます!

追記(2017年2月27日):

Ai Script Assist for Windowsがバージョンアップ。1.0.0.7から、Illustratorのアクションを実行できるようになっています。

追記(2017年8月2日):

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