[コラム:本格的な民族大移動は今年?]デジクリ掲載コラムの転載

この記事は鷹野雅弘によって執筆されました。
公開日:2006年2月10日、更新日:2010年12月31日

2月10日付けの「日刊デジタルクリエーターズ」に掲載したコラムを転載します。

InDesignを中心としたエコシステム

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本格的な民族大移動は今年?
InDesignナイトセミナーを終えて(1)

鷹野雅弘
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アドビシステムズ 株式会社、株式会社モリサワの主催に「出版・制作会社向け Adobe InDesignナイトセミナー」が開催された。その初級編のゲスト講師として、プレゼンテーションとデモを担当した。
DTP業界に12年、「QuarkXPress+イージーコンポ」にヘビーに依存してきたユーザーの代表として、本音の部分をということでお声がかかった。
実際、InDesign 2.0.2まで様子見をしてきたが「QuarkXPressの未来はないかも?」という雲行きを感じてからInDesignを検証しはじめ、今では、QuarkXPressに戻れなくなっている。会社でも、2006年からはMac OS 9環境でのお仕事はお受けしない方針になった。「メーカーの思う壺!」と後ろ指指されてしまうかもしれないが、InDesignそのものというより、それを取り巻く総合的な環境に依存してしまったら、居心地がいいのだ。

アップルとアドビ、モリサワ、大日本スクリーンにより『次世代DTP』の啓蒙・検証・情報提供を目的としてプロジェクト「TNG」は目的を終えたとして、クローズするそうだが、本格的な移行は今年以降になるではないかと実感している。
http://www.tng-project.jp/

マーケティングの分野ではユーザー層を、イノベータ(革新人間)、アーリーアダプタ(先端人間)、フォロワー(保守的)のように分類することがある。実際のところ、DTP業界でのMac OS Xの導入はほんの一部であり、(Mac OS Xの画面を)「触ったこともない」「見たこともない」という方さえ、実存するのが現実だったりする。

ここで重要なのは、「QuarkXPress VS InDesign」といった単純な対立の話ではないということだ。「Mac OS 8」から「Mac OS 9」とか、「Illustrator 5.5」から「Illustrator 8.0」のような、独立した動きでなく「次世代DTP」とは、まさに総合的に"次"の環境に移行することを意味している。
次にあげる個々の要素を独立して扱うのでなく、総合的に移行することではじめて大きなアドバンテージが生まれることが重要な点だ。

●Mac OS 9から、Mac OS Xへ

「Mac OS 9は死んだ」と、スティーブ・ジョブスが開発者向けのカンファランスにて葬式の演出を行ったのが2002年5月。それから実に3年半以上の月日がたっている。
とりあえず、仕事をこなせるという理由で使い続けるこという考え方もあるが、すでにMac OS 9を起動できる新品のハードウェアは数年前から市場が消えている。2005年後半あたりから、Mac OS 9環境でのマシンの不調が出てきている現場が増えているが、ハードディスクをはじめ、周辺機器などもいつまでもつか心配になってきている方もいるだろう。
Mac OS 9環境に依存する多くのアプリケーションやフォントはサポートが終了してしまっている。さらに、このコラムで紹介するほかの"変化"を享受するためには、Mac OS Xへの移行は必須だ。

●QuarkXPressから、InDesignへ

私個人のまわりの状況だけかもしれないが、QuarkXPress 6.1/6.5はまったく話題にもされていない。そもそもQuarkXPressにこだわる方々は、Mac OS 9にしか興味がないのも事実だが、度重なる"さかなでマーケティング"の結果、メーカーへの信頼を失ったしまったからなのか、理由は定かではない。
「打倒QuarkXPress」をうたい、InDesignが進化を進める中、いつの間にか敵はいなくなっていたという構図だ。

●OCF/CIFから、OpenTypeフォントへ

OpenTypeの意義は、フォントのフォーマットが変わったことだけではない。
異体字や豊富な記号類が使えることにより、Biblosフォントなどの外字フォントが不要になること、プリンタフォントいらずで出力できることが大きなポイントだ。OpenTypeを導入しても、その機能を引き出せるアプリケーションが限られることに注意したい。OpenTypeのアドバンテージを享受するためには、InDesignやIllustrator CS/CS2などのアプリケーションが必要になる。
さらに、プリンタフォントが不要(「ダイナミックダウンロード」と呼ぶ)ということは、環境の構築(新規/リプレース)においての費用計算が大きく変わってくる。また、使用できるフォントが広がることは制作の自由度が増すことに直結する。

●中間ファイル生成から、生データの貼り込みへ

「IllustratorやPhotoshopのファイルは、EPSファイルに変換してQuarkXPress等に貼り込む」という常識が変わりつつある。EPSファイルのことを「中間ファイル」と呼ぶが、PhotoshopのEPSではレイヤーを保持できない等、修正の際にはオリジナルを探して再変換の作業が必要だ。
InDesignを中心とするワークフローでは、Illustratorファイル(.ai)やPhotoshop(.psd)ファイルの貼り込みが推奨されている。もちろん、IllustratorにもPhotoshopファイルを貼り込むことができる。
ネイティブのPhotoshopファイルは透明を保持できるので、クリッピングパスを使わずに切り抜き合成を行えるといった副次的なメリットもある。

●生データ入稿から、PDF/X入稿へ

PDF/Xは、PDFを入稿ファイルとして使うためのルールをISOにて定めた規格。
(1)フォントはすべて埋め込む(→入稿先のフォント状況は無関係)
(2)画像はCMYKで高解像度を埋め込み(添付忘れやリンク切れの問題クリア)
(3)セキュリティなし(パスワードなどのロックをかけないこと)
(4)Acrobat 4.0互換(つまり、Illustrator 8.0互換の透明を分割したデータ)
というのが基本的なルールだ。
InDesign CS/CS2や、Illustrator CS2からは非常に簡単なステップで、PDF/Xファイルを生成することができる。ただし、デフォルトではトンボや塗り足しはオフになっているので、適宜、付加することを忘れずに行う必要がある。

●前半のまとめ

印刷というプラットフォームでは、事故につながるような危ない挑戦は御法度だ。先がないという理由からでなく、メリットを享受するという積極的な理由で、少しずつ検証を進めるタイミングに来ているのではないだろうか。
実際、Mac OS 9はMac OS Xとまったく異なるし、InDesignがいかに多機能で豪華でも、QuarkXPressのエレガントな操作感には及ばない。簡単ではないがチャレンジして損はないだろう。

いいことばかりあげてきたが、もちろん、すべてが簡単にいくわけではない。後半では、次世代DTPに移行するための注意点や覚えておきたいポイントなどをご紹介したい。

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