「コピペ」って何ですか? ~パソコン用語について考える

この記事は伊藤吉樹によって執筆されました。
公開日:2008年4月21日、更新日:2014年3月 6日

とあるデザイナーが、新入社員に「これ全部コピペしといてね」と作業指示をしました。しばらくして進行状況確認をしたところ、新入社員は指示された作業に手をつけず、違う仕事をしているので、理由をたずねると。「コピペってなんですか」と、逆にたずねられたそうです。

この場合、作業指示をしたデザイナーと作業指示を受けた新入社員、どちらに非があるのか、みなさんはどうお感じでしょうか?

今回のコラムでは、パソコン用語について考えてみたいと思います。

正確なパソコン用語を使う必要性

私の普段の主要業務はパソコンのインストラクターです。相手に対して言葉で説明することが必要なので、正確な用語を使用することは必須の課題になります。これはパソコンに関する文章を紙媒体やウェブ上で記述しているライターも同様でしょう。

自分ひとりで作業を完結できる作業者の場合、用語の正確さはさほど重要でないかもしれませんが、自分ひとりで作業を完結することはまずないでしょう。組織内部の共同作業者であったり、取引先の相手であったりと、人との関わりの中で、正確な用語の使用を求められてきます。

用語を調べるための情報源

『日経パソコン用語事典2008』

パソコン用語を調べるために、私がいちばん使用している情報源は『日経パソコン用語事典2008』です。

他のパソコン用語事典と違う点は、紙媒体としての事典に記載されている同じ情報が、付属のCD-ROMの中に「exeファイル」として同封されているところです。パソコンにアプリケーションとしてインストールすればCD-ROMは必要ではないので、必要に応じて頻繁に検索して調べています。

この事典が重宝するのは、検索した用語を「コピー」して「貼り付け」することができることです。残念なのはMacintoshでは「exeファイル」が使用できないことです。2009年度版では改良されることを期待したいです。

『IT用語辞典 e-Words』

ネットの事典でよく活用するのは『IT用語辞典 e-Words』です。

2008年4月21日時点で、見出し語 : 9088語 解説項目 : 5985項目と用語数も多く、内容もしっかりしていて、比較的情報も早く、新語が頻繁に登場するパソコン用語に対処するためには便利な存在です。

『ウィキペディア(Wikipedia)』

同じくネットの事典で利用頻度の高いものに『ウィキペディア(Wikipedia)』があります。

ユーザー参加型の用語集で、画期的なコンセプトで有名なサイトですが、ユーザー参加型という特徴から、内容の信頼度の優先順位を高くすることはできません。

それでも情報の早さと、情報量の多さ、情報の範囲の広さなどから、補助的な参考資料として大いに活用しています。

『カシオ EX-Word XD-SW6400』

他に『カシオ EX-Word XD-SW6400』という電子辞書も使用しています。

広辞苑やマイペディアをはじめとして、100種類からの辞典を使用することができ、検索も容易なのですが、私の場合、電子辞書の使用頻度が思いのほか低い理由は、内容記述テキスト文章の「コピー」「貼り付け」ができないため、使用する際に文字を入力し直さなければならないことがネックになっているからです。

「コピペ」などの短縮用語

さて、話題を冒頭にお話した「コピペ」の話に戻しましょう。

この場合、作業指示者であるデザイナーと、作業を指示された新入社員と、どちらに非があるのかなのですが、人によって見解は異なるかと考えられます(ちなみに、この話は実際にデザイナーからお聞きした実話に基づいています)。

私の感じ方としては、どちらにも非があるけれども、どちらかといえば新入社員側が良くないかなと感じます。

まず、作業指示側が使用した「コピペ」という単語を、日経パソコン用語事典とe-Wordsとウィキペディアとカシオ EX-Word XD-SW6400のそれぞれに検索をしてみると、日経パソコン用語事典とカシオ EX-Word XD-SW6400からは該当なしの表示が返され、e-Wordsとウィキペディアでは「コピペ」ともいけれども「コピー・アンド・ペースト」が正式ではないかと導かれます。つまり「コピペ」は正式名称ではなく短縮語だということです。

「コピー・アンド・ペースト」という用語の中で問題にしたいのは「ペースト」の箇所です。

パソコンユーザーの大半が使用しているマイクロソフト製品で、「ペースト」に該当する操作のコマンド名称は「貼り付け」です。実際に私自身がインストラクションをしていて「ペースト」という用語を使用した際に、受講者が何のことか理解できず「キョトン」とされた経験もあります。

本来、省略ことばにするのであれば「コピハリ」と呼ばれるべきだろうと考えるのですが、どのような経緯で「コピペ」という短縮語が定着したのかよくわかりません。恐らく「ペースト」という名称の方が先に使われたのが理由かもしれませんが、「貼り付け」の方が日本語としてわかりやすいように私は感じます。

それに関して、私の好きなネット上のブラックジョークサイトの『真・コンピュータ用語辞典』「コピペ」をご紹介させて頂きます。

日本人が短縮語を好む民族なのかはよくわかりませんが、同じようにIllustratorのことを「イラレ」、Photoshopのことを「フォトショ」と呼ぶ方がいらっしゃいます。

用語の使用は個人の自由なので、短縮語の使用の是非を人に押しつけるつもりはありませんが、私個人としては両ソフトの名称を短縮語で呼ぶことはまずありません。「フォトショップ」もしくは「イラストレーター」と省略することなく使用します。

Illustratorが「イラストレータ」なのか「イラストレーター」なのかに関しては、後述する「JIS規格用語がもたらす混乱」でお話します。

一方、どちらかといえば指示を受けた新入社員が悪いかと感じる理由は、「コピペ」と指示を受けた際に、その時点で意味をたずねなかったことです。

「コピペ」は正式名称ではありませんが、一般的によく使用される言葉です。

Googleで「コピペ」と検索をすると、2008年4月21日時点で10,300,000件の検索該当件数になります。

ですから、新入社員が取るべき行動としては、意味をたずねるか、自分で調べるかのどちらかで、私が新入社員の立場であれば、状況にもよりますが、調べてわからなければ作業指示者に用語の意味をたずねるでしょう。

その行動を取らなかったことにより、共同で進めている作業は滞ってしまったわけですから、指示を出した側の用語の使用方法の不備はあったにせよ、新入社員側に非があるかと感じたしだいです。

「コピペ」という用語を使うことが悪いと断言しているわけではなく、使用した用語を相手が理解してくれるかどうかを考える思いやりが必要だと考えるのです。

アルファベット3文字の省略用語

「CMS」とは何を意味するのでしょうか?

答えは複数回答になります。

最近、よく使用されるのは、どちらかといえばWeb側で使われる、コンテンツマネージメントシステム(Content Management System)です。

しかし、DTP側で主に使用される、カラーマネージメントシステム(Color Management System)という使われ方もあります。

あえて広範囲に用語を網羅できるウィキペディアで「CMS」を検索すると、他分野の用語も含めて9件の用語が該当します。

他に、ウィキペディア検索で重複の多いアルファベット3文字の省略用語をあげてみると、ほんの一例ですが、次の用語があげられます。

  • CSS : 9件 - Cascading Style Sheetsなど
  • PSD : 6件 - Adobe Photoshopデータファイルの拡張子など
  • FTP : 3件 - File Transfer Protocol(ファイル転送プロトコル)・フィルムから刷版を作成する方法(Film To Plate)など
  • ASP : 11件 - アプリケーションサービスプロバイダ (Application Service Provider)など
  • POP : 10件 - Post Office Protocol (POP3) ・POP広告(Point of Purchase)など

アルファベット3文字の短縮は暗記しにくく、たった3文字の組み合わせでは重複を招きやすくなります。CSSやPSDのように業界によっては用語として定着しているものもありますが、その用語の理解が相手に伝わっているかを配慮した上で、状況しだいでは省略された基になる英語をあえて分解したり、簡単な用語解説を加えるべき場合もあるでしょう。

同じ呼び方で異なる使われ方をする用語

フォーマット

「フォーマット」という用語は3種類の意味を持っています。

  • ディスクを消去してデータを書き込めるようにすること
  • 書式設定のこと
  • ファイル形式のこと

「フォーマット」といわれても、どの意味合いでのフォーマットであるのかがわかりにくいため、私は

  • ディスクの初期化
  • 書式設定
  • ファイル形式

といったように、あえて「フォーマット」という用語を使用せず、できる限り日本語表現を使用するようにしています。

インターフェイス

インターフェイス(interface)という英単語の意味は「接点」です。

英語辞典系で「interface」を調べると「インターフェイス」になるのに対して、パソコン用語としては「インタフェース」と読み方が変わります。これはJIS規格用語で「インタフェース」と定められていることが影響しているかとも考えられます。語源は同じで「接点」であることに変わりはありません。

パソコン用語として「インタフェース」が使われる場合、

  • 2つ以上の機器をつなぐ場合に必要な各種の手順、装置、技術、あるいはそれらの規格や仕様そのもの
  • 操作方法や画面構成など、利用者が機会やソフトを操作するために接する部分のこと

といった2つの意味に分かれます。

前者は接続関連に関する意味合いでのインタフェースで、後者はユーザーとパソコンの各デバイス(周辺機器も含めた構成要素)に対してのインタフェースなのです。

「インタフェース(接続)」とだけいわれても、何に対する接続なのかを省略されると意味がわからなくなるはずです。インタフェースを使用するのであれば、「接続インタフェース(日本語と英語で「接続」を繰り返すのも変ではありますが)」もしくは「ユーザーインタフェース」と省略することなく使用するか、「接続ケーブル」や「画面構成」と、あえて日本語表現をした方が親切とも考えられます。

できれば「インタフェース」といういい方も「インターフェイス」に統一して使用したいところですが、パソコン用語としては「インタフェース」で定着している感もあるので、パソコン系で使用する場合は「インタフェース」と呼ぶようにしています。

JIS規格用語がもたらす混乱

JISとは、工業製品が定められた品質や寸法、機能、形状の範囲内であることを保証する、日本工業規格の略称です。

ここで定められた名称と、一般市場で使われている名称とが一致しない場合があります。

  • 一般 : デジタル → JIS : ディジタル
  • 一般 : ベジェ曲線 → JIS : ベジエ曲線
  • 一般 : アンチエイリアス → JIS : アンチエイリアシング

などがそれにあたります。

また、JIS規格用語では「コンピューター」を「コンピュータ」とするように、語尾の伸びる外来語に関して音引きを取らない傾向にありますが、一般の用語集では音引きを付けています。「エディター/エディタ」「サーバー/サーバ」「プログラマー : プログラマ」などもそうです。

Illustratorを6種類の情報源から確認してみると、

  • 日経パソコン用語事典 : イラストレーター
  • e-Words : イラストレータ
  • ウィキペディア : イラストレーター
  • 広辞苑 : イラストレーター(宣伝美術家の意)
  • ジーニアス英和辞典 : イラストレーター
  • 図解DTP用語辞典 : イラストレーター

のように、e-Words以外はすべて伸ばしています。

Wikipedia 外来語表記法あたりを参考にされるとよいかもしれません。

工業技術者系からは反論があるかもしれませんが、私は「最もよく使われている日本語での読み方」を優先して使用しています。

パソコン用語とクレーム

「むずかしい言葉ばかり使わないでほしい」といったご要望は、パソコン講習で最も発生しやすいご要望です。それがクレームにつながる場合もめずらしくありません。用語の選び方もまた、相手への思いやりのひとつではないでしょうか?

それぞれの業界において、専門用語や特別な名称はたくさんあります。それを相手が理解できるかを考えて、使用する用語を選択することを心がけてみてはいかがでしょうか?

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