DSトレンドセミナーレポート -Trueflow SEv6.0-

この記事はあかねによって執筆されました。
公開日:2008年7月11日、更新日:2011年1月 2日
 

大日本スクリーントレンドセミナーレポート第四弾。これで打ち止め。

スクリーンによる、TrueflowSE v6.0の紹介セッション

TrueflowSE v6.0ではOutlinePDFがバージョンアップ。OutlinePDF-Advanceが登場です。 OutlinePDF-Advanceについて解説する前に、まずは従来のOutlinePDFの説明から。

OutlinePDFというのはTrueflowが生成する、中間ファイル。 TrueflowでRIPをかけてデータをTrueflowに最適化したPDFにしたものです。OutlinePDFという名の通り、Fontがすべてアウトラインをかけられた状態になっているのが特徴。

OutlinePDFの役割は何かというと、このセミナーでは「デジタルフィルム」という言い方をされていましたが、つまり昔の製版でいうところの「版下」がDTPでのアプリケーションデータの状態だとして「フィルム」に相当するもの。

例えば、私の勤める印刷会社のように製版部門(営業所)と刷版部門(工場)が別の場所にあるような場合、製版部門でデータからデジタルフィルムであるところのOutlinePDF生成の処理までを行い、このOutlinePDFを刷版部門に送り、刷版部門でこのデータを使ってCTPの版を焼く。

実際にDTPの製版業務(RIP処理)などをやらない方にはピンとこない話かもしれませんが、同じデータを複数のRIPにかけた時、すべての結果がイコールになる、というものではない。 分かりやすくいうと、RIPに搭載されているフォント。データを処理したとき、使用している書体のプリンタフォントがRIP側にあればちゃんと出力できるけど、なければ文字化けしてしまう。フォントの例は大きな違いだけど、それだけではなく例えば破線の処理、線の太さの処理、角の丸みの処理...RIPの解釈によって出力結果が違うというのは結構あるものです。 そのほとんどは人が気づかないような微妙な違いですが、場合によってはドット一つのずれでも、大きな問題になる。

OutlinePDFはそういった「RIPごとの解釈」をある程度処理してしまった状態のファイル。 一度RIPをかけてあるデータなので、刷版部門でそのデータをRIPにかけた時にRIP処理の違いによって違う結果になってしまうことがないというのがメリットです。 もちろんどんなRIPにかけてもいいという訳ではなく、Trueflow専用。しかもTrueflowのバージョンにも厳しい制限ありの上でですが。 OutlinePDFのバージョン縛りはかなり厳しくて、このバージョンならOKこのバージョンは一部問題ありという詳細な互換表がスクリーンから配布されている。逆にいうと、Trueflowのバージョンさえ合わせておけば確実に同じ結果がでるという保証のあるPDFということです。

OutlinePDFの互換性について、バージョンが違うと互換性がないみたいに誤解されるといけないので付け加えると、バージョン違いの OutlinePDFでも処理はできる。バージョン違いを処理したときの信頼性はPDF/X-1aを処理した時と同等ぐらいじゃないでしょうか。いや OutlinePDFの方が信頼性としてはちょっとだけ上かな?

TrueflowユーザーがOutlinePDFの互換性を気にするのは、ものすご〜〜〜〜〜〜〜くシビアな処理の違いまで問題にしているということで、そういう意味でPDF/X-1aのようなある意味可変であるデータではそこまでシビアな信頼性がないと考えるというだけです。

OutlinePDF-Advance

さて、前置きが長くなりましたが、そのOutlinePDFにこのたび新しい仲間が誕生しました。 あうとらいんぴーでぃーえふあどばんす〜!!!(←むかしのドラえもんの声で)

Advance...、こういう名前って次のバージョンが出た時に続けるのが難しいから困らないかね?(よけいなお世話ですが) そんな感想はさておき、OutlinePDF-Advanceですが。一言でいってしまうとAdobe PDF Print Engine向けのOutlinePDF。

TrueflowSEはエンジンとしてAdobe PDF Print Engineも採用しています(APPEだけではなく、従来のTrueflowエンジンとAPPEの2本立て構成になっている) APPEの特長は、PDF処理のためのエンジンというところ。透明効果をそのまま処理できる。せっかく透明効果をダイレクトに処理できるエンジンなのに、その中間ファイルに古い形態のOutlinePDFをつかうんじゃもったいない。

と、いうことでOutlinePDF-Advanceの特徴。

  • 透明効果を保持
  • フォント属性保持(アウトライン化しない)
  • ストロークのアウトライン化
  • 入稿ファイルの画像圧縮を保持

透明効果を保持

それまでのOutlinePDFはPDF1.3でしたので、透明効果は保持できなかった(その前に、Trueflowで透明効果を処理できなかった訳ですが)APPEが搭載されたことにより、OutlinePDFも透明効果を含むPDFにできた。 注意しなければいけないのは透明効果を含むOutlinePDF-Advanceを処理するのはTrueflowSEのAPPEでのみというところ。TrueflowSEでは従来のTrueflowエンジンも載っているけど、そちらでは処理できない。

フォント属性保持(アウトライン化しない)

アウトラインPDFというぐらいで、OutlinePDFはフォントをすべてアウトライン化してしまっていました。これは「昔は埋め込みフォントの出力に対する信頼性がいまひとつだったので」という理由を技術の方が説明していました。現在では埋め込みフォントの出力が大分安定してきたので、アウトラインではなく埋め込みにするという方向に変えたのだそう。 アウトラインではないのにアウトラインPDFとはこれいかに...!

ストロークのアウトライン化

フォントがアウトライン化されなくなった代わりにこちらがアウトライン化(笑) ストローク(線分)処理というのはRIP処理の中でも難しいものだそうで、一番問題がでやすいのは破線処理じゃないかな。 私も何回か破線の位置がほんの少しずれたり、点の数が消えたりしてカンプとイメージが違ってしまうというようなトラブルに遭遇したことがある。破線設定をつかって連続する●の模様を書いたりとかよくやるでしょ? 結局こういうズレはRIPで毎回毎回点線の位置を再計算することから、ほんのちょっとのズレから大きく結果が違ってしまうらしい。 で、こういったズレを回避するために、最初にストロークを計算したときに、アウトラインをとってしまう(つまり破線じゃなくて、□の集まりにしちゃうわけだ)らしい。こうすれば次のRIPでずれる心配はない。 なんだよ〜それならもっと早くこうすればよかったのに〜(笑)

入稿ファイルの画像圧縮を保持

Trueflowは処理する画像に対して一律で圧縮処理(Zipかjpegかは設定できる)をするんだけど、その一律処理を「すでにjpegになっているものは処理しない」に変更できるらしい。 セミナーではZip圧縮をしない、としか説明していなかったので、jpeg処理を選んでいる時にもそれが効くのかは不明。

スクリーンとしては、APPEになっても、デジタル置き版としてのOutlinePDFは存在意義がありますよとのこと。 よく「APPEになれば、すべてのPDFが同じ処理で出力できるはずだ、PDF/X-1aやPDF/X-4ですべてできるはず。デバイス依存する OutlinePDFはだめだ」みたいな意見も聞くけど、PDF/X-1aやPDF/X-4の出力って出力側からみると「生データよりはまし」ぐらいの信頼性しかない。

製版側のカンプと刷版側で確実に一致する間違いのない出力を保証するという意味でOutlinePDFみたいなデバイス依存PDFというのも必要があるのだと思う。

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