ADPS(Adobe Digital Publishing Suite)は、何かを変えるか

この記事は瀧本 浩二によって執筆されました。
公開日:2012年7月25日、更新日:2012年7月25日

まず始めに表明しておきますが、ADPSに対して、私は"否定的である"ということを前提に話を進めます。

ホントにADPSで電子書籍の世界が変わるのでしょうか。私は変わらないと思います。Adobeの戦略は、InDesignをコアアプリ(ハブ)として、そこから印刷向け、電子書籍、ウェブなどに展開させようと考えているようです。しかし、思い出してください。InDesignは、もともと商業印刷向けのデータを作るためにリリースされたアプリであるということを。

私はInDesign 1.0(CSじゃないですよ)からずっと使い続けていますが、InDesignが電子書籍を作り出すアプリとして、適任などとは、まったくこれっぽっちも思いません。これはアプリ側の問題もありますし、アプリを使うユーザー側の問題もあります。

とくにユーザー側は、印刷向けのデザイン、印刷向けのデータ作りをしてきた人たちです。この人たちに、やれ動画だ、やれ音声だ、やれインターフェイスだ、といっても、それは酷というものでしょう。

また、印刷向けデータから電子書籍への展開を考えたとき、その労力・コストに見合った見返りが、本当に得られるのかどうか疑問です。

印刷向けデータからPDFを書き出して、これが電子書籍だっていうなら話は別ですが、読者はそれでは納得してくれないでしょう。

電子書籍を作成するさまざまなコストは、印刷向けデータを作成するコストを上回ることもあります。インターフェイスデザイン、動画の処理、音声の処理、縦表示用デザイン、横表示用デザイン......。CrossDesignの黒須さんが、何かのセミナーで、電子書籍を作るのに(印刷向けと比べて)、2倍とはいわないけれど、1.7倍くらいは労力がかかるとおっしゃっていたのが印象的でした。

そこへもってきて、iOS向けのアプリとしてリリースするなら、売り上げに対して、Appleの取り分が発生しますし、販売数に対して、Adobeの取り分も発生します。

こんなさまざまなコストにがんじがらめのADPSが、電子書籍の世界を変えるとは到底思えないのです。

InDesignで印刷向けのデータがあるんだから、それを電子書籍向けに、と思う気持ちはわからないでもないです。ただ、電子書籍を作るには、印刷向けにデータを作るのに必要な知識・技術ではまなかえません。どちらかというとウェブ向けのデータ作りに必要なスキルが要求されます。

プレリリースのときにもさんざんいっていましたが、私は「ADPSは他所でやってくれ」と思っています。InDesignのデータを使うのでもかまいませんが、その先の作業をInDesignに担わせないでほしいと。InDesignのプラグインという形からは切り離して、InDesignデータを開ける「新アプリ」をコアに、専用システムとして"別売"し、販売数で発生するAdobeの取り分をなくしてもいいんじゃないかと。

InDesignは、初心に返り、印刷向けのアプリとしてよみがえってほしいです。印刷向けにも、まだまだ改善・改良しなければいけないところはたくさんあります。

そこをなおざりにして、ADPSへ傾倒しているAdobeには、いささか不安を覚えます。

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