Shaperツールとライブシェイプ、「グループの抜き」で作るドーナツグラフ
次のようなドーナツグラフを作成します。
Illustrator CC 2015から追加されたShaperツール、ライブシェイプ、そして、「グループの抜き」を使って、後から編集しやすいことを念頭において作成してみます。
下準備
グラフとして塗りを設定したいとき、[円グラフの開始角度]に入力する値を次のように計算しておきます。
たとえば、18%に設定したい場合、Illustratorの入力フィールドでは、「360-18*3.6」のような計算はできませんので、次のように2段階で計算します。
- 18*3.6(=18*360/100)を計算する(64.8)
- 360-64.8を計算する(295.2)
Yosemite以降であれば、Spotlightで「360-18*3.6」と入力して、(一発で)計算できます。
もちろん、Alfredなら、どのバージョンでも可能です。
手順
ドーナツグラフを作る手順です。3つのオブジェクトを使用します。
Shaperツールを使って正円を作成する
正円を同じ座標に複製し、カラーを変更
[変形]パネルで[楕円形の角度]を90に設定する
右横にあった[角度ウィジェット]が真上に移動します。
[円グラフの開始角度]に下準備で計算した値(295.2)を入力する
ひとまわり小さい正円を作成する(最初に描いた正円を同じ位置にペーストして、縮小するとよいでしょう)
不透明度を0%に設定する
3つのオブジェクトを選択してグループ化し、 [不透明]パネルで[グループの抜き]を0%に設定する
完成
修正したい場合には、グループ編集モードで、円グラフのオブジェクトのみを選択して編集します。
まとめ
今回のチュートリアルでは、3つのオブジェクトがグループ化されています。
最前面から
- 中央の円:透明度0%「グループの抜き」によって透過される
- グラフ部分:ライブシェイプによって、表示部分をコントロール
- 背面の円:外側の円を表現する
雑感
“パックマン”のような形状を作りたいときにはいいのですが、円グラフとしてライブシェイプを使う場合、[角度ウィジェット]が右にあるのが意味不明ですし、また、[円グラフの開始角度]の値をもっと単純に入力したいですよね。
っていうか、「開始角度と終了角度、逆やん」って思うんですけど…
donut-graph-b from swwwwitch on Vimeo.
もしかしたら、もっとシンプルなやり方があって、私が見落としているだけかもしれません。ツッコミいただければ嬉しいです。
グラフツールと不透明マスクで作るドーナツグラフ
「グラフツールを使えばいいんじゃない?」とも思いますが、グラフツールでがんばりすぎると、開けなくなってしまうなど、トラブルの元です。
それでも、グラフツールを使って、ドーナツグラフを作るには、不透明マスクを使うとよいでしょう。
- グラフツールを使って、円グラフを作成する
- 円グラフの中心から、くり抜きたい部分にあたる正円を描画し、「塗り:黒、線:なし」に設定する
- グラフと正円を両方とも選択し、[透明]パネルの[マスク]をクリック
[クリップ]のチェックをはずす
不透明マスクでは、白いところが表示、黒いところが非表示になります。クリップがオンになっていると、オブジェクトのみが表示されますので、これをオフにします。
Adobe Creative Stationで「ベテランほど知らずに損してるIllustratorの新常識」と題して連載しています。
2014年10月に発売。新しいバージョンを使いながらも、古いやり方のまま作業されている中級以上のユーザー向けの書籍。ツールやコマンドなどの基本的な使い方の解説はありません。
2015年3月、8月、2016年7月、11月、2017年9月に増刷(現在「6刷」)。前書(2011年版)と合算すると38,000部のロングセラーとなっています。
改訂版に関する情報
2011年に発売した書籍の改訂版です。
- 対応バージョンは、CS5/CS5.1/CS6/CC/CC 2014
- 178ページから78ページ増量の256ページ
- 改訂版にありがちな「焼き直し」は69ページのみ
- 金額は180円(だけ)アップの2,380円(税別)
書籍リリース後の追加情報は、サポートページにて公開しています。
最新版への対応
Illustrator CC 2019(2018年10月リリース)への対応版準備中です。全ページ書き換えますので、2017年版を待たずに、2014年版を(も)ご購入ください。
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全都道府県縦断セミナーツアー
2014年10月に技術評論社から発売された『10倍ラクするIllustrator仕事術』(増強改訂版)のプロモーションのために、全国47都道県にて実施。
47都道府県すべての県での開催が終了しました。ご参加ありがとうございました!