Illustratorでアクションを実行する1行スクリプトを用意して、キーボードショートカットの自由度を高める
よく使う複数ステップの動作をアクションに登録し、キーボードショートカットで実行すれば作業効率が上がります。
しかし、Illustratorでは、アクションに割り当てられるキーボードショートカットが限定されているため、アクションを作り込んでもキーボードショートカットの設定には限りがあります。
そこで、アクションを実行するスクリプトを用意し、そのスクリプトに対してキーボードショートカットを割り当てることを考えてみます。
アクションに割り当てられるキーボードショートカットの組み合わせは非常に少ない
Illustratorのアクションを実行するキーボードショートカットには、commandキー、shiftキー、および、F1-F15しか使うことができません。
細かくいうと、次の組み合わせが可能です。
- {F1-F15}のみ
- command + {F1-F15}
- shift + {F1-F15}
- command + shift + {F1-F15}
しかしながら、メニューコマンドのキーボードショートカットで大半が使われていますし、OSのキーボードショートカットが最優先されるため、そのことも考えなければなりません。
さらに、現在、主流となっているMagic Keyboardには、F13-F15キーはありません。
つまり、空いているキーの組み合わせは、そう多くありません(【】はmacOSのデフォルト)。
- | +shift | +command | +command +shift | |
---|---|---|---|---|
F1 | Illustratorヘルプ | |||
F2 | カット([編集]) | |||
F3 | コピー([編集]) | カラーガイド (パネルを開く) | 【スクリーンショット (画面)】 | |
F4 | ペースト([編集]) | 【スクリーンショット (選択部分)】 | ||
F5 | ブラシ (パネルを開く) | グラフィックスタイル (パネルを開く) | 【VoiceOverの 入/切】 | |
F6 | カラー (パネルを開く) | アピアランス (パネルを開く) | 次の ドキュメントに 移動 | 前の ドキュメントに 移動 |
F7 | レイヤー (パネルを開く) | 整列 (パネルを開く) | ||
F8 | 新規シンボル | 変形 (パネルを開く) | 情報 (パネルを開く) | |
F9 | パスファインダー (パネルを開く) | グラデーション (パネルを開く) | ||
F10 | 線 (パネルを開く) | 透明 (パネルを開く) | ||
F11 | 【デスクトップを表示】 | 属性 (パネルを開く) | シンボル (パネルを開く) | |
F12 | 【ダッシュボードを表示】 | その他のスクリプト ([ファイル]) |
F1-F12のみを取ってみても、48個のうち、使えるのは20個だけです。
スクリプトからアクションを実行する
次のようにスクリプトを記述することで、スクリプトからアクションを実行することができます。
app.doScript("アクション名", "セット名");
スクリプトの知識がなくても、たった1行記述し、「.jsx」の拡張子を付けて保存するだけです。
- スクリプトからアクションを実行できるのはIllustrator CS6
- アクション名、セット名には、日本語を利用できる
SPAiやKeyboard Maestroを使って、スクリプトにキーボードショートカットを与えれば、optionキーやcontrolキー、そして、Fキー以外のキーを使えるため、自由度が飛躍的に上がります。
- 祝! SPAi公開 〜Illustrator強化作戦スーパーSpecial〜|3倍早くなるためのDTP講座
- 3flab inc. | Keyboard Maestro で Illustrator のスクリプトをサクっと実行
Windowsの場合、Ai Script Assist(有料)が選択肢です。
よく使う作業を洗い出して、アクションを設定する
下記は、私が登録しているもの(の一部)です。
分類 | アクション |
---|---|
塗り | 黒に |
白に | |
拡大縮小 | 200%に拡大 |
50%に縮小 | |
90%に縮小 | |
110%に拡大 | |
変形 | 時計回りに45度回転 |
時計回りに90度回転 | |
リフレクト(垂直軸を基準に) | |
罫線 | オモテケイに |
破線 | |
矢印 | |
シンボル | シンボル作成 (ダイアログボックスをスキップ) |
マスク | 不透明マスクを作成 |
グループの抜き |
たとえば、拡大縮小は、次の手順で実行できますが、ワンストロークで実行できれば早いですし、Illustrator CC 2015.xでの「[拡大・縮小]ダイアログボックスを開いたときに、数値入力フィールドにフォーカスしない問題」も回避することができます。
- sキー([拡大・縮小ツール]に持ち替える)
- return(ダイアログボックスを開く)
- 数値入力(拡大率を入力)
- return(実行)
1日の作業の中を因数分解し、次のような視点で棚卸しすることで、総合時間だけでなく、アイデアをカタチにするスピードが圧倒的に向上します。
- ツールの切り替えや、メニューコマンドの呼び出しには、デフォルトのキーボードショートカットを与える(シングル・アクション)
- 一連の操作はアクションに登録できないか、または、Keyboard Maestroのマクロに登録できないかを検討する
- 面倒な繰り返し作業や、Illustratorではそもそもできないことは、スクリプトで実現できないかを探してみる
難点
複数のオブジェクトを選択しているときに、連続して実行しようとすると、一部のオブジェクトの選択が外れてしまうことがあります。
管理のために
私の場合、専用のExcelシートで管理し、時折、“棚卸し”をおこなっています。
4つ目の修飾キー
commandキー/Ctrlキー、optionキー/Altキー、shiftキー/Shiftキーのように対応していますが、macOSではcontrolキーを4つ目の修飾キーとして利用できるため、設定できるキーボードショートカットの幅が広がります。
macOS | Windows |
---|---|
commandキー | Ctrlキー |
optionキー | Altキー |
shiftキー | Shiftキー |
controlキー | なし(右クリック) |
ご参考
- クリエイター手抜きプロジェクト (Illustrator編) Illustrator CS6編 スクリプトからアクションを実行する
- よく使う一覧の作業はアクションに登録 - DTP Transit
- #151 Web制作の作業時間がCS時代の10分の1に!かならず使えるCreative Cloudの神ワザ集
追記:
Keyboard Maestroなら、JavaScriptファイルなしで行けるよ、とツイートいただきました。
--Keyboard MaestroのExecute an AppleScriptならファイル不要
— したたか企画 (@sttk3com) 2017年2月14日
--以下の記述でCS2まで遡れるはず
tell app "Adobe Illustrator" to do script "アクション名" from "セット名" https://t.co/WmhaldYfXP
で、やってみたら、できた!感動。ありがとうございます!
追記(2017年2月27日):
Ai Script Assist for Windowsがバージョンアップ。1.0.0.7から、Illustratorのアクションを実行できるようになっています。