IllustratorユーザーがKeyboard Maestroを使うべき理由(macOS)
ここ数年で、Macを使う上でなくてはならないものに加わったものに、Keyboard Maestroがあります。
Keyboard Maestroは、QuicKeysと並び、古くからある自動化ユーティリティ。macOSでは標準でAutomator.appもありますが、macOSでIllustratorを使っているなら、Keyboard Maestroがオススメですという紹介です。
きっかけは三階ラボ
2014年くらいに、三階ラボの長藤さん、宮澤さんにお会いする機会があったのですが、「あ、それ、スクリプトでできるよ!」、「それだったら、Keyboard Maestroでできるよ!」と、日々、困り果てていた問題の多くを普通に解決されていてぶっ飛びました。
そこからKeyboard Maestroの旅がはじまります。
- 3flab inc. | Keyboard Maestro の使い方 – 基本機能の説明編
- 3flab inc. | Keyboard Maestro の使い方 – マクロを作ってみる編
- 3flab inc. | Keyboard Maestro で Illustrator のスクリプトをサクっと実行
Keyboard Maestroで何ができるの?
次のような操作にキーボードショートカットを割り当てることができます。
- アプリケーションの起動(単体、一括)
- ファイルやフォルダーを開く
- 文字入力(日本語入力モードのとき、option+,で「,」を入力するなど)
- ダブルクリック、トリプルクリック、右クリック
- キーボードショートカットをカスタマイズできないアプリケーション(AcrobatやKeynote)のメニューコマンドの実行
- キーボードショートカットは変更できるけれど、セットとして保存できないアプリケーションでキーボードショートカットを上書き
文字入力の際、次のような操作を1ストロークで可能です。
- 「」と入力し、「の後にカーソルを移動(さらに入力後、確定したら、」の後にカーソルを移動)
- 文字列を選択し、「文字列」のように囲み、」の後にカーソルを移動
また、過去にはKarabinerを使って行っていたEmacsキーバインド関連もKeyboard Maestroで完結しています。
Keyboard MaestroをIllustratorと併用すると何が嬉しいの?
ここから本題。
Illustratorユーザーこそ、Keyboard Maestroの恩恵が受けられると考えているのですが、これについて解説します。
Illustratorのキーボードショートカットの限界
Illustratorのキーボードショートカットには、次のような制約があります。
- アクションを実行するキーボードショートカットには、commandキー、shiftキー、および、F1-F15しか使うことができない
- メニューコマンドには、command+、command+shift+、command+option+、command+option+shift+と、{0-9}、{A-Z}、{F1-F12}の組み合わせしか利用できない
デフォルトの状態でほぼ埋まっており、アキを探すのに時間がかかります。
Keyboard Maestro経由で実行すれば、commandキーを使わないコンビネーションが可能になります(ただし、optionキーと{0-9}、{A-Z}の組み合わせは、基本的に欧文の記号入力にアサインされています)。
- option + {0-9}、{A-Z}、{F1-F12}
- option + shift + {0-9}、{A-Z}、{F1-F12}
さらに、macOSでは「第4の修飾キー」であるcontrolキーを使うことで、さらに、多くのコンビネーションが可能になります。
さらに広がる可能性(1)
単純にスクリプトを実行するのはもちろんですが、さらに、次のような操作が可能になります。
- 複数のスクリプトを連続実行する
- スクリプトの前後に、Illustratorのメニューコマンドを指定する
- スクリプト実行の前に、テキスト編集モードから選択ツールに切り換える
- スクリプト実行後、グループ化を解除する
- フルキーボードをアクセスをオンにして、tabキーでフォーカスを移動する
- 数値入力
- スクリーションショットの指定領域をクリック
スクリプトのみを実行するのであれば、SPAiが重宝しますが、Keyboard Maestroなら+αが可能です。
ご参考:
さらに広がる可能性(2)
1行スクリプトを用意することで、IllustratorのアクションをKeyboard Maestroから実行することもひねりワザも可能です。
アクションの実行は、Keyboard Maestro上でAppleScriptを使って実行することも可能。
ここまでの図解
Keyboard Maestroではできないこと(たぶん)
- ドラッグ&ドロップ
まとめ
Illustratorでガッツリ作業すると、右手に疲労が残ります。「このままいったら、絶対、腱鞘炎になるな…」という心配から、ここ数年『いかにマウス操作なしで制作を行えるか』をテーマに日々、研究を重ねています。
現在、Keyboard Maestroのマクロは525個。そのうち、Illustrator関連は213。結構、いい感じに仕上がってきました。
スクリプトやアクション、CCライブラリを使って次のような作業をキーボードショートカットだけで完結できるようになっています。
- フォント指定を行う
- 自動カーニング(自動、オプティカル、0)を切り換える
- グラフィックスタイルを指定する
- 改行や連結のコントロール