Illustrator CS6は久々の"奇数バージョン"、もとい、"鬼門バージョン"か?

この記事は鷹野雅弘によって執筆されました。
公開日:2012年8月 4日、更新日:2015年3月19日
 

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かつて、DTP業界には"奇数バージョンのIllustratorは買うな(使うな)"という格言がありました。

ある意味、Illustratorは5.5(CSでなく、1994年発売のIllustrator 5.5)で完成しているといえますが、チャレンジングな改良を行うことでバギーだったりしたことを揶揄したものです。

  • Illustrator 7.0(RGBサポート)
  • Illustrator 9.0(透明・アピアランスのサポート)
  • Illustrator CS(テキストエンジンの刷新)

いうなれば、奇数バージョンで公開ベータテストを行い、次の偶数バージョンで安定、というサイクルを繰り返していたのです。

CS2以降、複数のアートボードという強化ポイントはあったにしろ、ずっと安定してきましたが、Illustrator CS6は、久しぶりの"奇数バージョン"といっても過言でない実装になっています(CS6=16.0なので、正確には偶数バージョンだということは理解しています...)。

Illustrator CS6での"退化"ポイント

UI変更に伴い、おそらく"実装を忘れてしまった"レベルで退化しています... 

どれも地味だけど、なくては困るものばかり。実装した人も、チェックした人もIllustratorを日々使っている人でないことが明らかなレベルです。

  • [文字]パネル内、command+クリックで値の初期化ができない
  • [行送り]のアイコンをダブルクリックしても、文字サイズが同じ値にならない
  • [プリント]ダイアログボックスを開いたとき、[部数]がハイライトしない(2回tabキーを押す必要がある)
  • インライン入力をオフにできない(Mac版のみ)([テキスト]環境設定の[ラテン文字以外にインライン入力を適用])
  • Illustrator CS6で文字入力中にスペースバーで[手のひらツール]に切り替えられない
  • [カラー]パネルの[C]や[M]、[線]パネルの[線分]、[間隔]などの項目名をクリックしても、対応する入力ボックスがハイライトしない
  • コントロールパネルのライブカラーアイコンにマウスオーバーしてもカラーにならない。また、指さしアイコンにならない(Illustrator CS5.5ツールパネルもマウスオーバーすると、ほんのりカラーが付いていました。グレースケール化は仕様のようです...)

なお、Illustrator CS6では、アーキテクチャ変更によって、これまでのプラグインがほぼ使えませんので、プラグイン頼りで仕事されている方は要注意です(追記:2012年12月「Xtream Path」がCS6対応になりました)。

それでもIllustrator CS6を使う理由

  • パターン作成機能
  • 画像トレース(ライブトレースの改良版。スピードが速く、精度も高い)
  • 線へのグラデーション
  • 64ビット化による処理時間の短縮
  • Retina対応している(なぜか、Illustratorだけ...?)

その他の細かい修正ポイント

ちなみに、ペンツール、および、ペンツール選択時のマウスポインタが変わっています。

おまけ

お願い

ここに挙げている以外で、ここがおかしい!という点があれば、コメントやTwitterなどで、ぜひお知らせください。

追記(2012年8月4日):

追記(2012年12月12日):

「ドロップシャドウ」、「光彩(外側)」、「ぼかし(ガウス)」の効果を使用していると、バージョンダウンの際に、ビットマップ化されてしまいますのでご注意ください。

Adobe Illustrator CS6 の「ドロップシャドウ」、「光彩(外側)」、「ぼかし(ガウス)」の各効果において仕様変更が行われています。そのため、Illustrator CS6 で作成したアートワークを CS5 以前の形式で保存すると、これらの効果は分割・統合されます。

追記(2013年7月3日):

Illustrator 16.2.1、Illustrator CCでのバグフィックスについて調査してみました。

追記(2014年6月27日):

Illustrator CC 2014にて、[文字]パネル内でのcommand+クリックで値の初期化ができるようになりました。

追記(2014年10月31日):

効果を使ったIllustrator CS6書類をダウングレード保存すると、ビットマップ化してしまう問題への回避方法は、『10倍ラクするIllustrator仕事術』(増強改訂版)の179ページ「CS5以下にバージョンダウンできるドロップシャドウ」にて紹介しています。

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